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コロナショックで激変する転職市場、今動く企業はあるのか?

コロナショックで激変する転職市場
今動く転職者と企業、転職エージェント


当初は米中貿易戦争の影響が一番の懸念材料になると予想されていた2020年。しかし、世界経済は今や誰も予想しなかった新型コロナウィルスの登場、流行によって、全く違う姿へと変わろうとしています。

今回は新型コロナウィルスの流行と史上初となる緊急事態宣言の発令、全国への拡大によって、日本の転職市場、中途採用マーケットにどんな大変化が起こり始めているのか、
ジェイ エイ シー リクルートメントの最新状況を交えながらご紹介していきます。

転職活動が活発になり、内定も一気に伸びる3月に本格化した「新型コロナウィルス問題」


本来、毎年3月は一年の中でも転職活動が活発化し、採用企業による内定出しも大きく伸びていくシーズンです。日本国内では3月末が会計年度の区切りとなっている企業が多く、資本金100億円以上の企業に限って言えば約75%以上が3月末となっているほどで、この一年の締めの時期までに中途採用計画を完了させておきたい企業が最後の採用の追い込みをかけている時期です。

しかし、今年の3月に関しては様相が一変しました。厚生労働省が2月21日以降、テレワーク(在宅勤務)や時差出勤を推奨するようになると、大手企業の一部は早々にテレワーク(在宅勤務)開始へと踏み切り、その他の企業もその準備や対応に追われるようになり、採用選考のスピードが遅くなる傾向が一部で見え始めました。また、3月の下旬には外資系企業を中心に中途採用の活動を一時的にフリーズする動きも出てきました。

そして4月8日、安倍総理大臣の緊急事態宣言の発令によって潮目はさらに大きく変わります。このタイミング以降、多くの業界、企業が原則テレワーク(在宅勤務)へと切り替わり、首都圏では山手線の朝の通勤時間帯の利用者数が、2月頭と比較して約60%も減少(4月13日付の読売新聞電子版より)。不要不急の外出を自粛するとともに、4月25日からはSTAY HOME週間と銘打ったコロナウィルス感染拡大防止の広報活動も始まり、巣篭もりしながら自宅で仕事をするという今までにない働き方が始まっています。


緊急事態宣言の延長と新しい生活様式、企業は長期化に備えた経営スタイルの構築が急務に



このような形で社会全体が目まぐるしいスピードで変化し続けていく中、5月4日には緊急事態宣言の延長が発表され、同じタイミングで問題の長期化に備えた「新しい生活様式」の提言内容も公開されました。
この中には「働き方のスタイル」に関する提言も含まれており、テレワークやローテーション勤務、時差通勤の推奨、オンライン会議の活用といったポイントも挙げられ、企業はこれまでよりもさらに柔軟性の高い働き方の導入、デジタルトランスフォーメーションの加速が急務な状況となっています。

転職相談の面談と採用面接に変化あり、WEB面談の増加とオンラインでの中途採用選考



3月から4月にかけての世の中の状況変化は、ジェイ エイ シー リクルートメントをはじめとした転職エージェントにも大きな変化の波をもたらしました。

その際たる例の1つが「WEB面談(オンライン面談)」の開始です。外出ができないという環境の中で、Zoom等のビデオ会議システム、オンラインコミュニケーションツールを利用し、自宅にいながらコンサルタントと転職相談の面談が行える仕組みが新しくスタートし、既に多くの方々にご活用頂くまでに伸びています。

また、中途採用の選考を行う企業側にも同じような変化が現れ始めています。これまでは転職希望者が企業を訪問し、対面式のスタイルで採用面接を実施するのが当たり前でしたが、コロナショックが起こってからはZoomやGoogle Meet、Teams、Skypeなどのツールを活用しながら正式な面接、選考を進めていく企業が少しずつ増え始めています。今回の問題をきっかけにデジタル化を推進していく企業が増えることを考えれば、今後WEBを活用した選考スタイルは一定程度普及していくものと思われます。

転職理由にも変化あり、コロナによって炙り出される企業、アフターコロナに向けて動く個人



さらに新型コロナウィルス問題は転職活動を進める個人の心理にも大きな影響を与えています。

例えば新型コロナウィルスを巡る自社の対応方針に不安、不満を感じたのが転職活動のきっかけになったと答える方も増えていて、多様な働き方に対する許容度が弱い、大胆な経営判断が行えない、いざという時のリスクに対して適切な備えがない企業は、このタイミングで炙り出されるような状況にもなっています。

一方で冷静なビジネスパーソンの方の中には「アフターコロナ」を意識して転職先を選んでいきたい、チャンスがどこにあるかを見極めて動きたいと考える方もいらっしゃいます。こういった方々は顕在化している今時点の求人情報だけに流されることなく、この情勢下でも成長し続けている業界、職種、企業をしっかり把握したい、中長期的な視点で次のチャンスになるタイミングが知りたいといった目的でコンサルタントに再相談しているケースも見られます。

全体で25%程度の求人に影響あり、一方で堅調に採用を継続する企業、これから乗り出す企業も



今回のコロナショックが中途採用の求人数にどの程度の影響を与えているのか?という観点で見た場合、現状は概ね25%程度の求人に影響が出ている状況です。
これは2月下旬時点のジェイ エイ シー リクルートメント取り扱い求人数と4月下旬時点の求人数を比較した場合であり、全体の25%程度の求人がこの2ヶ月間でクローズ、減少している形です。(これらの中には緊急事態宣言の発令に伴って中途採用の活動を一旦保留しているような企業も含まれます。)

マクロ視点で見ればこういった影響が出ている反面、この情勢下でも堅調に採用活動を続けている企業、これから中途採用に乗り出す企業があるのもぜひ皆さんに知っておいて頂きたいポイントです。
例えばライフラインのインフラを提供するある大手企業はこの局面でも採用活動を継続していますし、デジタルテクノロジー、ECをはじめとしたオンラインサービス、生活消費財、食品、製薬関連等でも採用活動を続けている企業は比較的多いです。

また、こういった局面だからこそ優秀な人材が転職市場に出てくると考える、いわゆる「逆ばり型の企業」も実はいます。
チャンスと見ている企業は敢えて重要なポジションの採用活動に乗り出していますし、普段は競合他社に負けて採用がうまくいっていなかったような企業でも、オンライン面接の体制を整えて選考を止めない努力を進めるなどの工夫を行っています。
一般論だけで考えれば悲観的に映る局面かもしれませんが、ピンチをチャンスと捉えて動く企業、アフターコロナのタイミングを既に一定程度織り込んで動き出している企業もあります。こういった時期に次の時代の勝ち組となりそうな成長企業を見極める、次の成長ステップのタイミングをゆっくりと考えていくのもおすすめです。

※本稿は執筆者の個人的見解であり、ジェイエイシーリクルートメントの公式見解を示すものではありません。

(2020年5月)

この記事の著者

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垪和 敦

執行役員事業副本部長

東京都出身。2000年3月成城大学法学部卒業。2001年パソナ入社。2011年ジェイ エイ シー リクルートメント入社以降、ファーマスーティカルディビジョン部長などを経て、現職。